文献詳細
特集 カルシウム動態と細胞機能
自己寛容(セルフトレランス)の形成とカルシウムオシレーション
著者: 中山俊憲1 鈴木和男2
所属機関: 1東京理科大学生命科学研究所 2国立予防衛生研究所
ページ範囲:P.128 - P.134
文献概要
健康な人の体内にいるT細胞は他人の組織(移植片)には非常に強い反応を示すにもかかわらず,同じヒトでありながら,自分の組織と反応して拒絶反応を起こすことはない。この状態は免疫学的自己寛容(セルフトレランス)という。とすると,ヒトの各組織にはそれぞれの人で違った「自己」がプリントされていなければならないはずである。現在では,体内のほとんどすべての細胞表面にプリントされている自己の原型は,主要組織適合遺伝子複合体(major histocompatibility complex;MHC)抗原と呼ばれるポリペプチドであることがわかっている。ヒトではHLAがそれにあたる。免疫系はこのMHC抗原を認識して「自己」か「非自己」かを識別する。
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