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文献詳細

雑誌文献

生体の科学47巻2号

1996年04月発行

特集 カルシウム動態と細胞機能

肥満細胞におけるカルシウムイオン動態

著者: 片桐聡12 竹中洋2 髙松哲郎1

所属機関: 1京都府立医科大学第二病理学教室 2京都府立医科大学耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.135 - P.139

文献概要

 肥満細胞がエフェクターとして重要な役割を果たしているI型アレルギー反応では,肥満細胞の細胞膜表面に存在するIgE受容体に結合したIgEが抗原によって架橋されると細胞内酵素の活性化が起こり,すでに生成され貯蔵されていたヒスタミンやヘパリンなどのいわゆるpreformed mediatorが遊離し,さらに新たにロイコトリエンやプロスタグランディンなどのnewly generated mediatorが産生される。このうちrapid phaseに働くヒスタミンやヘパリンなどpreformed mediatorの遊離は,exocytosisによって起こり,その際細胞内カルシウムイオン濃度([Ca2+i)の上昇が重要な役割を担っていることが明らかになっており1),その分子レベルでの機構の解明が進んできている。
 抗原による受容体刺激によりホスホリパーゼCの活性化が起こり,イノシトールリン脂質代謝経路でイノシトール1,4,5-三リン酸(IP3)が産生される。IP3が細胞内Ca2+ストアである小胞体からカルシウムイオンの放出を促すという過程2)以降,どのような機序で脱顆粒が生じるかに関して,脱顆粒前後の過程での細胞内カルシウムイオンの時間的空間的分布がどのように変化するか,またこの変化によりどのように細胞骨格は動くか,共焦点レーザ顕微鏡による私たちの観察を中心に論説したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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