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特集 細胞分化
細胞分化を制御する転写因子ネットワーク:ニューロン
著者: 影山龍一郎1
所属機関: 1京都大学大学院医学研究科生体情報科学講座
ページ範囲:P.171 - P.175
文献購入ページに移動 中枢神経系は外胚葉由来の神経管より形成される。神経管ははじめ1層の神経前駆細胞からなるが,これらの細胞は分裂を繰り返した後,ニューロンやグリア細胞へと分化していく。ニューロンへの分化が決定した細胞は,分裂をやめ外層へ遊走した後,最終分化する。こうして外層に皮質が形成されていく。一方,未分化な神経前駆細胞は内腔側(脳室周囲層)に残り分裂を続けているが,発生の進行とともに減少していく(図1)1)。
このような複雑な神経分化を制御する機構についてはまだよくわかっていないが,近年,ヘリックス・ループ・ヘリックス(HLH)型転写因子が重要な役割を担っていることが明らかにされてきた2)。例えば,HLH型因子Mash-1は正の神経分化因子として機能する3,4)。一方,HLH型因子HES-1はMash-1の活性を抑制し,神経分化抑制因子として機能する5,6)。本稿では,最近,当研究室で得られたHES-1についての知見,特にノックアウトマウスの解析結果をもとにHLH型因子による神経分化制御機構について述べたい。
このような複雑な神経分化を制御する機構についてはまだよくわかっていないが,近年,ヘリックス・ループ・ヘリックス(HLH)型転写因子が重要な役割を担っていることが明らかにされてきた2)。例えば,HLH型因子Mash-1は正の神経分化因子として機能する3,4)。一方,HLH型因子HES-1はMash-1の活性を抑制し,神経分化抑制因子として機能する5,6)。本稿では,最近,当研究室で得られたHES-1についての知見,特にノックアウトマウスの解析結果をもとにHLH型因子による神経分化制御機構について述べたい。
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