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文献詳細

雑誌文献

生体の科学47巻3号

1996年06月発行

文献概要

特集 細胞分化

筋細胞分化における遺伝子の段階的活性化

著者: 鍋島陽一1

所属機関: 1国立精神・神経センター神経研究所遺伝子工学研究部

ページ範囲:P.184 - P.189

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 試験管内において細胞が形態を変え,細胞の分化を誘導することに初めて成功したのは,筋芽細胞から筋管細胞への転換であった。この驚くべき観察はその後の細胞分化の解析へと引き継がれ,MyoDの発見に到達した。MyoD遺伝子を線維芽細胞,脂肪芽細胞,骨芽細胞などに導入し,強制させると筋芽細胞へと転換し,ついには細胞が融合し,筋管細胞へと分化する。MyoDの発見以来,筋細胞の発生,分化の研究は急速に展開し,4種のMyoDファミリー遺伝子が分離され,その転写因子としての性質,胚発生における発現様式が解析されてきたが,ジーンターゲティングによるMyoD遺伝子群のノックアウトにより,筋発生におけるそれぞれの因子の機能が明らかにされた1)。現在では,筋細胞が発生する体節における誘導因子群の解析,転写因子としてのMyoDファミリーの作用メカニズムの解析へと研究が進められている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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