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文献詳細

雑誌文献

生体の科学47巻3号

1996年06月発行

文献概要

特集 細胞分化

小脳の形成と成熟に関与するタンパク質

著者: 田岡万悟1 内田和久2 礒辺俊明1

所属機関: 1東京都立大学理学部生物化学教室 2協和発酵東京研究所

ページ範囲:P.190 - P.198

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 小脳は,中枢神経の発達を分子生物学的に解析するための多くの好適な条件を備えている。まず第1に,小脳は整然とした層構造を持ち,構成する細胞の種類が比較的限定されている。また,小脳原基の形成から成熟するまでの間,主な構成細胞の増殖・分化・移動の状況が比較的詳細に解析されている。小脳変成症マウスの系統も,20年以上も前から確立しており,正常マウスとの比較研究が可能である。さらには,小脳内での神経相互のシナプス形成の解析が進んでおり,それらのシナプスの化学伝達物質についても,生化学的あるいは電気生理学的な知見が蓄積している。こうした多くの利点を生かして,小脳を材料とした神経の発達に関する論文は,ここ5年間は定常的に年間100報を超え,その中から神経系の形成に関わる重要な知見が得られている。さらに最近では,小脳変成症マウスの原因遺伝子の解析が進み,神経発生の分子機構を研究する上で,小脳研究の有為さがますます強調される状況になっている。
 本稿では,小脳の発生から成熟に至るまでの機構に焦点を当て,そこに関わるタンパク質群を紹介する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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