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文献詳細

雑誌文献

生体の科学47巻3号

1996年06月発行

文献概要

特集 細胞分化

細胞分化における細胞―細胞間相互作用―グリアとニューロン

著者: 植木孝俊1 加藤泰治1

所属機関: 1名古屋市立大学医学部分子医学研究所生体制御部門

ページ範囲:P.199 - P.202

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 グリアとニューロンは,いずれも神経管に由来することが知られていたが,最近,それらがおそらく共通の前駆細胞より分化することを示唆する証拠が多く得られている。グリオブラストとニューロブラストへの分化が決定づけられた未分化なグリアとニューロンは,相互に影響を及ぼしあうことによって脳内の適切な部位に移動し,特異的に機能する。また,成体の脳内のグリアとニューロン間においても,グリアが特定のニューロンに作用する神経栄養因子を産生することにより,あるいはグリアが神経伝達物質のレセプターを発現しシナプスの可塑性に影響を及ぼすことによって,グリアとニューロンが適当に分化すると考えられる。これまでグリア,とりわけアストロサイトが脳内で担う役割に関してはわからない点が多く,その重要性は看過されがちであったが,最近,グリアが各種のサイトカインやレセプターを発現していることが明らかとなり,グリアとニューロンの細胞―細胞間相互作用に着目しつつ神経系の発生を研究することが重要であると考えられるようになった。本節では,それらの知見について概観したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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