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文献詳細

雑誌文献

生体の科学47巻3号

1996年06月発行

文献概要

特集 細胞分化

信号伝達と細胞の最終分化:ケラチノサイト

著者: 野澤義則1 岩崎愛彦2 中島茂1

所属機関: 1岐阜大学医学部生化学教室 2岐阜大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.220 - P.225

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 われわれの生体は60兆にもおよぶ細胞からなり,化学的あるいは物理的な外的刺激に対して分泌,収縮などの迅速応答のみならず増殖,分化あるいはアポトーシスのような長期応答など多様な細胞応答を示す。これらのさまざまな細胞機能発現に至る過程に,情報の受容,変換,増幅が細胞膜あるいはその近傍で行われる。受容体には膜リン脂質を介するG蛋白質型,チロシンリン酸化を介するチロシンキナーゼ(PTK)型およびイオンチャネル型などがあり,さらにさまざまな情報変換酵素など実に多様である。したがって,生成されるセカンドメッセンジャーの種類も多く,これらが蛋白質リン酸化系,Ca2+放出系あるいはその他の情報伝達因子系に作用し,信号伝達を行う。
 細胞分化のような遺伝子発現を伴う信号伝達系はかなり複雑であるが,ケラチノサイト(keratinocyte),ヒト骨髄性白血病細胞(HL-60),ラット褐色細胞腫細胞(PC-12)などは分化シグナルの研究に最もよく用いられているモデル細胞である。ここでは,ケラチノサイトの最終分化(terminal differentiation)に至るシグナル伝達について述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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