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文献詳細

雑誌文献

生体の科学47巻3号

1996年06月発行

文献概要

連載講座 新しい観点からみた器官

平衡器―その構造と微細形態

著者: 原田康夫1

所属機関: 1広島大学

ページ範囲:P.226 - P.232

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 動物の平衡器は重力,遠心力,回転,水平,垂直の直線加速を感じ,体平衡を維持する感覚器で,一番古い感覚器に属する。10億年前にクラゲなどが地球上に現れた時点で,まず重力を感ずる耳石器が出現したものと思われる。これらの動物は耳石器で重力や波の揺れなど水の動きなどを感じていたものと思われるが,動物の進化により,回転のために半規管が必要となり,二半規管の動物が現れた。現在も生息している。円穴類(Lamply)のヌタウナギ,八目ウナギがこれにあたり,前,後の垂直半規管を持つのみで外側半規管を持たない。魚類,両棲類,鳥類,哺乳類ともに三半規管を有しており,垂直方向のみならず水平に回転する能力を有している。しかしカエルなどは外側半規管の発達が悪く,水平回転は下手で,向こうとする方向に一度身体を向けてから跳ぶなど,頚がないため水平回転のためには身体全体で方向を決めなければならないことなど,平衡器は動物の運動能に極めて大きな役割を持っている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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