文献詳細
連載講座 新しい観点からみた器官
文献概要
内耳に存在する平衡斑は重力や直線加速度の受容器である。その構造は図1に示すように,感覚上皮と耳石膜から成る1)。感覚上皮には有毛細胞と支持細胞が存在する。有毛細胞は,頂面にciliaを有する感覚受容細胞である。一方,耳石膜はgelatinous layerと呼ばれるゲル状の膜とその上に乗っている耳石,そしてciliaとgelatinous layerとの間をつなぐ非常に細いmeshwork(subcupular meshwork)より構成される。重力や加速度によって耳石が偏位するとgelatinouslayerへ伝えられ,subcupular meshworkを介してciliaを動かし,これによって有毛細胞の膜電位が変化するしくみになっている。
さて,耳石の無機成分の大部分は,哺乳類ではcalciteの結晶構造をとる炭酸カルシウムである。しかし単純な無機的過程を経て析出した結晶ではなく,糖蛋白を含む有機成分がその生成に関与していると考えられている。耳石中のウロン酸の含有量は蛋白質に対して1%以下と少なく(未発表データ),この点から,多量のコンドロイチン硫酸をはじめとするglycosaminoglycanを含む軟骨組織とは異なり,むしろ骨基質に近いものと考えられる。
さて,耳石の無機成分の大部分は,哺乳類ではcalciteの結晶構造をとる炭酸カルシウムである。しかし単純な無機的過程を経て析出した結晶ではなく,糖蛋白を含む有機成分がその生成に関与していると考えられている。耳石中のウロン酸の含有量は蛋白質に対して1%以下と少なく(未発表データ),この点から,多量のコンドロイチン硫酸をはじめとするglycosaminoglycanを含む軟骨組織とは異なり,むしろ骨基質に近いものと考えられる。
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