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特集 エンドサイトーシス
プロテインAの作用を介した抗体感作細胞による細菌の貪食
著者: 関啓子1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学微生物学講座第2
ページ範囲:P.257 - P.261
文献購入ページに移動 貪食作用は細胞が環境から微生物や細胞破片,顆粒などの大きな粒子を取り込む作用である。貪食作用を専門に行う細胞として貪食細胞があり,哺乳動物では白血球のうちの好中球やマクロファージがこれに相当する。貪食細胞によって異物が取り込まれる際には,まず,異物はそれに対応する抗体によって表面を被われる。この時,抗体分子IgGのFab部分が異物と結合し,反対側にあるFc部分が白血球細胞膜上にあるFc受容体と結合すると白血球の貪食作用が活性化される。ここには,IgGのほか補体も関与する。粒子が細胞表面に吸着すると,細胞膜の一部が突出したり陥入したりして粒子を取り囲むようになる。突出した膜同士が融合して粒子は袋に入った状態になり,細胞内に取り込まれる。
通常,黄色ブドウ球菌が細胞壁に共有結合の形で保有しているプロテインAは,IgGのFc部分と高い親和性を有する1)。この特異的作用が上に述べたIgGや補体などの関与する白血球の貪食作用を妨げるために,黄色ブドウ球菌が白血球により取り込まれにくくなるとされており2),プロテインAが黄色ブドウ球菌の病原性発現の一端を担っているとも考えられている。
通常,黄色ブドウ球菌が細胞壁に共有結合の形で保有しているプロテインAは,IgGのFc部分と高い親和性を有する1)。この特異的作用が上に述べたIgGや補体などの関与する白血球の貪食作用を妨げるために,黄色ブドウ球菌が白血球により取り込まれにくくなるとされており2),プロテインAが黄色ブドウ球菌の病原性発現の一端を担っているとも考えられている。
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