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特集 エンドサイトーシス
ジフテリア毒素のエンドサイトーシスと細胞質への移行
著者: 馬田敏幸1
所属機関: 1久留米大学分子生命科学研究所
ページ範囲:P.299 - P.304
文献購入ページに移動 ジフテリア毒素はジフテリア菌が分泌する強力な蛋白質毒素である。この毒素は動物細胞に侵入し,細胞の蛋白質合成を阻害して結果的には細胞を殺す作用を持つ。ジフテリア毒素は発見以来さまざまな角度から研究されてきたが,最近の研究の焦点は毒素がどのようなメカニズムで細胞内に至るかという問題である。この問題は細菌毒素の毒性発現機構を明らかにするだけでなく,細胞の持つ種々の物質輸送機構と深く関わっており,細胞生物学的問題としても重要である。さらに近年,悪性腫瘍の治療にハイブリッドトキシンを用いる試みがなされているが,毒素の侵入に関するより深い理解がハイブリッドトキシンの作製に求められている。
1992年にジフテリア毒素の結晶構造1)とジフテリア毒素レセプターの遺伝子2)が相次いで明らかになり,ジフテリア毒素の細胞内侵入がようやく分子レベルで論じられるようになった。本稿では,ジフテリア毒素の細胞内侵入に関与する細胞側の因子や,膜通過の研究を中心に紹介する。
1992年にジフテリア毒素の結晶構造1)とジフテリア毒素レセプターの遺伝子2)が相次いで明らかになり,ジフテリア毒素の細胞内侵入がようやく分子レベルで論じられるようになった。本稿では,ジフテリア毒素の細胞内侵入に関与する細胞側の因子や,膜通過の研究を中心に紹介する。
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