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文献詳細

雑誌文献

生体の科学47巻4号

1996年08月発行

文献概要

特集 エンドサイトーシス

原生動物におけるエンドサイトーシス

著者: 洲崎敏伸1

所属機関: 1神戸大学理学部生物学科

ページ範囲:P.313 - P.317

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 原生動物には光合成により独立栄養的に生活する種と,エネルギー源を体外からエンドサイトーシスにより取り込む有機物に依存している従属栄養種が存在する。本稿では,従属栄養性のさまざまな原生動物における食胞形成のプロセスについて概説するが,特に形成中の食胞に付加されていく膜の供給源がどこにあるかという点と,食胞が細胞内に取り込まれる際の原動力に関係する細胞内構造について注目して述べていきたい。
 原生動物においては,摂食のために細胞の一部に半永久的な開口部を有するものが多い。このような構造は口部装置buccal apparatusと呼ばれ,細胞小器官の一つとみなすこともできる(図1)。口部装置の構造は,特に繊毛虫などにおいて複雑に発達している。細胞の表面において,餌となる有機物が送り込まれるための陥入部を前庭vestibulum,それに連続する細胞口cytosomeまでの管状部を口腔buccal cavityと呼んでいる。細胞口の最下部において行われるエンドサイトーシスの結果,餌の有機物を含有する食胞が形成される。口腔より細胞の内部に向かって,微小管や他の細胞骨格線維から成る細胞咽頭線維系cytopharyngeal fibersが走っており,形成された食胞はこの線維系に沿って細胞内部へと運搬されていく。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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