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特集 器官―その新しい視点 7.内分泌
下垂体
著者: 井上金治1 小川智史1 坂井貴文1
所属機関: 1埼玉大学理学部生体制御学科
ページ範囲:P.452 - P.455
文献購入ページに移動下垂体は間脳の突起からなる神経性下垂体と,外胚葉起源の腺性下垂体からなる。また,腺性下垂体は前葉(主部:pars distalis),中葉(中間部:pars intermedia),隆起葉(隆起部:pars tuberalis)からなり,生体の成長,生殖,代謝,免疫に関わる6種類のホルモンを分泌する。前葉から分泌されるホルモンは各々別の細胞から分泌される。下垂体前葉のホルモン分泌細胞の機能を強く制御する視床下部因子は,今世紀の内分泌学の最も重要な発見の一つである。そして,視床下部因子の発見によって下垂体前葉の機能制御機構は,ほぼ解明されたかに思われた。しかし,下垂体前葉のホルモン分泌細胞は,生体の生理学的な変化に伴い細胞増殖や分化によって細胞数が変化するが,その制御機構は視床下部因子のみでは説明できない。現在,これらの細胞の分化機構についてホットな議論がなされている。また,腺性下垂体の個体発生についても興味深い仕事が発表された。ここでは下垂体の発生と分化について,最近の話題を中心にして述べる。また,下垂体の機能を制御する意味で重要と考えられる濾胞星状細胞についても述べる。
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