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特集 器官―その新しい視点 8.感覚器
味覚器
著者: 二ノ宮裕三1 井元敏明2
所属機関: 1朝日大学歯学部口腔生理学講座 2鳥取大学医学部第一生理学講座
ページ範囲:P.486 - P.489
文献購入ページに移動味覚器に化学物質が接触すると味細胞が興奮する。その興奮はシナプスを介して味神経へと伝達され,さらに脳に伝えられ味として知覚される。われわれはショ糖は甘く,食塩は塩辛く感じ,その味は明確に識別できるし,通常,変化することもない。一方,味覚受容を行う味細胞は上皮細胞由来で寿命は約10日と短く,そのサイクルでターンオーバーしており,新生した味細胞と味神経線維とは絶えず新たなシナプスをつくりながら情報伝達を行っている。それにもかかわらず,受容される物質の味の情報が一定に保たれているのは,どのようなメカニズムによるのであろうか。近年,塩味や甘味についてはレセプターの特異的修飾剤などを用いた研究により,味細胞から味神経への情報の流れが解析され,そのメカニズム解明への糸口が得られつつある。本稿ではその問題に焦点を絞り解説する。
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