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特集 老化
心臓の老化
著者: 礒山正玄1
所属機関: 1東北大学医学部第一内科
ページ範囲:P.588 - P.593
文献購入ページに移動個体の加齢による変化は個体自身の生物学的加齢,その個体の生活習慣などの社会的因子,心臓を含めた種々の臓器の病的状態などの医学的因子により影響される(図1)。個体の中にあって機能している心臓の加齢は,個体の加齢とともにする現象である。従って,心臓の加齢は心臓以外の臓器の加齢との相互作用の結果としてもたらされる。図2に示したごとく,心臓は血管系と結び付いて機能するために,血管特に動脈系の加齢による変化の影響を直接に受ける。ヒトでは加齢とともに動脈系の入力インピーダンスは増加する。同様に,血液循環を介して間接的に脳下垂体,甲状腺,副腎,性腺などの内分泌器官の加齢の影響下にある1,2)。他の臓器と同様に,心臓もまた神経系のコントロールを受けており,加齢によりその変化の影響を受ける。このように,個体の中の心臓の加齢は心臓自身の変化と心臓以外の臓器の加齢による影響の総体である。
心筋細胞の加齢に論を転ずると,心筋組織における心筋細胞は多くの生物学的に活性のある物質および種々の細胞に接している3-6)。それらの物質にはアンジオテンシンⅡ,エンドセリン,NO,心房性利尿ホルモン,fibroblast growth factor,transforming growth factor-β,tumor necrosis factor-αなど数多い。
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