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文献詳細

雑誌文献

生体の科学47巻6号

1996年12月発行

文献概要

特集 老化

ニューロトロフィンの脳における加齢変化と老化脳における動態

著者: 仙波りつ子1 加藤兼房2

所属機関: 1愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所周生期学部 2愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所生化学部

ページ範囲:P.594 - P.600

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 脳の老化には,正常老化とAlzheimer病にみられるような病的老化があるが,病理学的には両者を峻別することは難しく,連続的スペクトルを形成するものといわれている。本題では,加齢に伴う脳のタンパクの変動と老化脳における動態をとらえてみたい。
 脳の生後発達に伴い,顕著な変化をする脳特異タンパクは少なくない。しかしながら,脳の加齢(あるいは老化:aging)に伴って変動するタンパクとなると話は別である。そのなかでも,脳の老化に伴い新たに出現するタンパク(たとえばAlzheimer病にみられるアミロイドβタンパク,アポリポプロテインE4など)は,まだ比較的容易にとらえられるが1),加齢に依存した形態学的変化が顕著であっても,生化学的変動としてタンパクの増減をとらえることはなかなか難しいことが多い。アストログリア細胞のマーカーとされるS100βタンパクは加齢に伴い増加するタンパクのよい一例であるが,S100βについてはすでに総説があるのでそれを参照されたい2)。ところで,神経成長因子の欠乏がAlzheimer病の原因ではないかという報告3,4)がなされて以来,神経栄養因子は脳の老化に密接な関連をもつタンパクとして脚光を浴びてきている。本章では,神経成長因子ファミリー(ニューロトロフィン;NT)に絞って話を進めたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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