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特集 21世紀の脳科学
脳神経系の発生と分化
著者: 畠中寛1
所属機関: 1大阪大学蛋白質研究所
ページ範囲:P.5 - P.11
文献購入ページに移動これ以後,ニューロンは非分裂細胞として,一般には二度と分裂をしない。シナプス形成を経て形成された神経回路網は,その後個体の一生を通じて基本的には変わらず機能をし続ける。回路網の完成以後の成熟したニューロン間で,一部の神経回路網ではつなぎ換えが盛んに行われており,この現象はシナプス可塑性(synaptic plasticity)と呼ばれている。ニューロンの細胞分裂をしないという性質,神経回路網の安定性は,情報保持器官としての神経系の重要な性質である。それとともに,一部の回路網はシナプス可塑性によって回路が部分的につなぎ換えられているため,脳機能でも重要なものとされる記憶とか学習能力は担われ得るのである。
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