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特集 21世紀の脳科学
単一内因性脳障害の分子機構
著者: 辻省次1
所属機関: 1新潟大学脳研究所神経内科
ページ範囲:P.41 - P.46
文献購入ページに移動 われわれのかけがえのない「脳」を侵す疾患は数多く存在する。その多くについて病因が未解明であり,治療法も確立していないという状況から,これらの疾患が「神経難病」と呼ばれることが多い。このような神経難病の研究は,今までは神経難病で亡くなった方の脳を剖検し,光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察する,あるいはその組織を生化学的に分析するという方法で行われてきた。たとえば脂質蓄積症のように,光学顕微鏡,電子顕微鏡により脂質が神経細胞内に大量に蓄積していることが明らかにされ,ついでその脂質の化学構造が解明され,その脂質の代謝に関わる酵素とその欠損が証明されるというような流れで進められ,疾患の発症機構が明快に解明された疾患もある。
しかしながら,神経難病の中にはこのような研究によっても,頑としてその本態の解明を拒み続けた疾患も数多く存在する。このような疾患の多くは神経変性疾患と呼ばれるものであるが,その中に家族性にみられるものが存在する。このような家族性にみられる神経変性疾患の多くは,メンデル遺伝に従った遺伝形式を示し,特定の病因となっている遺伝子が存在し,この病因遺伝子の変異が原因となっていると考えられる。この10年余の神経難病の病態機序解明の飛躍的な発展は,最新の分子遺伝学,分子生物学を用いて,このような遺伝性疾患の病因遺伝子を解明するアプローチの方法が確立されたことによる。
しかしながら,神経難病の中にはこのような研究によっても,頑としてその本態の解明を拒み続けた疾患も数多く存在する。このような疾患の多くは神経変性疾患と呼ばれるものであるが,その中に家族性にみられるものが存在する。このような家族性にみられる神経変性疾患の多くは,メンデル遺伝に従った遺伝形式を示し,特定の病因となっている遺伝子が存在し,この病因遺伝子の変異が原因となっていると考えられる。この10年余の神経難病の病態機序解明の飛躍的な発展は,最新の分子遺伝学,分子生物学を用いて,このような遺伝性疾患の病因遺伝子を解明するアプローチの方法が確立されたことによる。
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