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文献詳細

雑誌文献

生体の科学48巻1号

1997年02月発行

文献概要

特集 21世紀の脳科学

カオスニューラルネットワーク集積回路

著者: 堀尾喜彦1 合原一幸2

所属機関: 1東京電機大学工学部電子工学科 2東京大学工学部計数工学科

ページ範囲:P.67 - P.71

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 近年の生理学,解剖学,生化学,細胞生物学,遺伝子工学,生物物理学などの多角的実験研究により,脳の構造と機能の解明が着実に進展しつつある1)。一方,これらの研究から得られた知見を基に,脳の働きを工学的に再構築してその動きを詳しく調べることにより脳の情報処理の仕組みに迫ろうとする,いわゆる「合成による解析」あるいは「構成的研究」も脳研究の重要な方法の一つである2)。脳の構造や機能が詳しく解き明かされつつある現在においては,それらの豊富な知見を取り込んだ,より高度なニューラルネットワークモデルの構築が可能となってきている。
 脳は多数のニューロンが互いに結合した非線形ネットワークである。このネットワークは平衡状態に陥ることなく,常に変化を続ける非線形非平衡系である3)。さらに,脳は可塑性に基づいた適応的で自己組織的なネットワークでもある。このような複雑適応系としての脳における情報の表現や処理,記憶の仕組みを理解するためには,構成的研究が非常に有効であると思われる。すなわち,その本質を抽出した,できるだけ簡単なモデルを用いて脳を真似た大規模なネットワークを構築し,そのダイナミクスを観測し,それを数理的観点から解析するのである。以下では,この構成的研究の一例として,カオスニューラルネットワークを取り上げる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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