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文献詳細

雑誌文献

生体の科学48巻2号

1997年04月発行

文献概要

特集 最近のMAPキナーゼ系

ERK2/p42MAPキナーゼの遺伝子構造

著者: 瀧嶋邦夫1 杉浦直明1

所属機関: 1防衛医科大学校生化学第一講座

ページ範囲:P.140 - P.144

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 MAPキナーゼカスケードは細胞外からの増殖刺激や分化誘導刺激などによって活性化される細胞内情報伝達経路であり,粘菌,酵母,ショウジョウバエ,植物から哺乳動物までの広範囲にわたる多くの生物によって利用されている。活性化されたMAPキナーゼは転写因子,細胞骨格やほかのプロテインキナーゼなどをリン酸化することにより細胞の機能調節を行っている。
 ラットから最初にクローニングされた哺乳動物のMAPキナーゼとして,ERK1/p44MAPキナーゼとERK2/p42MAPキナーゼがよく知られている。現在MAPキナーゼのファミリーが数多く報告されているが,ERK1とERK2はそれらの中で最もホモロジーが高いアイソフォームであり,アミノ酸レベルでの相同性は85%にも及んでいる。両者は多くの組織で発現していることや基質特異性や活性化のされ方など多くの点で似ており,機能的に等しいと考えられている。しかし,一方でERK1とERK2の組織特異的発現あるいは機能的な違いを示唆する結果も得られている。ERK1とERK2はともに広範な組織で発現しているが,組織や細胞によってその強さはまちまちである。脳におけるERKsの発現の局在がノーザンハイブリダイゼーション法1),in situハイブリダイゼーション法2)や免疫組織化学的な方法3)で調べられているが,ERK1とERK2で分布に差があることが報告されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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