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文献詳細

雑誌文献

生体の科学48巻3号

1997年06月発行

特集 開口分泌のメカニズムにおける新しい展開

分泌顆粒の細胞内輸送と微小管系

著者: 千田隆夫1

所属機関: 1名古屋大学医学部解剖学第一講座

ページ範囲:P.179 - P.184

文献概要

 分泌タンパクの種類や内分泌・外分泌の違いに関係なく,すべてのタンパク分泌細胞には分泌されるべきタンパクを含んだ分泌顆粒が存在する。分泌顆粒は,ゴルジ装置の最トランス側の層板あるいはトランスゴルジネットワークと呼ばれる特殊な膜系の一部が出芽し,その中に濃縮された分泌タンパクを含んだままちぎれてできたものである。本特集の別の稿で詳しく述べられているように,分泌タンパクはゴルジ装置から分泌顆粒に移行する際に,明確に仕分け(ソーティング)される。できたばかりの幼若な分泌顆粒は電子顕微鏡で見ると不整形を呈していることが多く,その中に含まれる分泌タンパクもまだ化学的修飾(プロセッシング)を受ける余地を残している。成熟した分泌顆粒は多くの場合,円形ないしは卵円形であるが,細胞によっては特徴的な形状の分泌顆粒を持つものがある。成熟分泌顆粒の限界膜は明瞭かつ平滑であり,その内容物は濃縮されて一般に電子密度が高い。
 分泌顆粒は,例えていうなら分泌タンパクという商品を運ぶためのコンテナであり,それを最終目的地である細胞膜へ運ぶためには何らかの手段が必要である。その最も有力な候補が微小管である。本稿では分泌機能に対する微小管の関与についての研究を概観するとともに,最近の知見を筆者らの研究を中心に紹介したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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