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文献詳細

雑誌文献

生体の科学48巻3号

1997年06月発行

解説

シグナル伝達分子三量体GTP結合蛋白質の構造と機能

著者: 仁科博史1 堅田利明1

所属機関: 1東京大学大学院薬学系研究科生理化学教室

ページ範囲:P.229 - P.235

文献概要

 1994年のノーベル医学生理学賞は,“G蛋白質と細胞内へのシグナル伝達に果たすその役割の発見”により米国のA.G.GilmanとM.Rodbellに与えられた。Rodbellは1960~70年代にかけて,ラット脂肪細胞や肝臓の細胞膜標品を用いて,ホルモンがそのシグナルを細胞の内側に伝える機構を研究し,アデニル酸シクラーゼが活性化されるときに,ホルモンと直接結合する受容体とアデニル酸シクラーゼの触媒部位との間に,GTPと結合しシグナルの伝達器として働く蛋白質が介在する可能性をはじめて指摘した。Gilmanはその後1970年代後半から80年代前半にかけて,マウスリンパ腫由来の培養細胞変異株(アデニル酸シクラーゼの活性化に関与するG蛋白質[Gs]を欠損する)の特性を利用して,G蛋白質[Gs]をはじめて精製した。すなわち,Rodbellによって提唱されたG蛋白質の概念が,GilmanによるG蛋白質の精製とその性状の解析によって実証されたといえよう1)
 1980年代以降のG蛋白質研究における大きな展開の一つは,G蛋白質が介在するシグナル伝達経路の拡大にあったと考えられる。この研究の展開において,細菌毒素の触媒するユニークな修飾反応がさまざまな局面で利用された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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