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文献詳細

雑誌文献

生体の科学48巻4号

1997年08月発行

文献概要

特集 マトリックス生物学の最前線

コンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸プロテオグリカンファミリーとそれらの普遍的プローブとしての抗GAG単クローン抗体の利用

著者: 矢田俊量1 木全弘治1

所属機関: 1愛知医科大学分子医科学研究所

ページ範囲:P.280 - P.286

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 プロテオグリカン(PG)とは,蛋白質(コア蛋白質と呼ばれている)に1本以上のグリコサミノグリカン鎖が共有結合していることを唯一の構造上の定義としている多様な分子の総称である。グリコサミノグリカン(GAG)には糖の骨格構造から分類すると,1)ヒアルロン酸(HA),2)コンドロイチン(CN)/コンドロイチン硫酸(CS)/デルマタン硫酸(DS),3)ヘパリン(HP)/ヘパラン硫酸(HS),4)ケラタン硫酸(KS)の4種に大別でき,HA以外はPGの側鎖として合成される。これらGAGの合成は,細胞内のゴルジ体に存在する各種糖転移酵素,硫酸基転移酵素,エピメル化酵素などのGAG合成酵素の活性と,PGコア蛋白の発現との巧みな共役反応のもとになされる。
 PGは生体のすべての組織に存在し,GAGの本数も1本から約100本以上までいろいろある。いくつかの例外を除き,あるPGには決まった種類のGAG鎖しか結合しないことから,GAG側鎖に従って分類されることが多く,CS(CN) PG/DSPG,HPPG/HSPG,KSPGの3種に大別される。GAGの立場からいえば,いろいろなコア蛋白質はGAG側鎖をある生命現象の場に提示するための足場と考えることもできる。コア蛋白質は多種多様で多くの遺伝子が単離され,その一次構造が判明し,いくつかのファミリーに分類されることがわかってきた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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