icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学48巻6号

1997年12月発行

文献概要

特集 軸索誘導

細胞外基質因子と軸索誘導

著者: 平英一1 三木直正1

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科情報薬理学

ページ範囲:P.524 - P.528

文献購入ページに移動
 神経組織の大きな役割は生体のコントローラーとして身体全体を制御していることである。そのために神経細胞は身体全体に神経線維(神経突起)を張り巡らせ,情報の入力,出力を行っている。また,これらの情報を的確に制御するために特に高等動物では,中枢神経系と呼ばれる巨大な神経塊を形成し,複雑な神経回路網を形成している。個々の神経細胞がシナプスを形成することにより複雑な神経回路網が形成されるが,このシナプス結合は発生初期に神経細胞同士,および神経細胞と標的器官もしくは感覚器官との的確な相互認識によって形成される。このためにはまず神経細胞は神経突起を標的細胞に対して伸展させなければならないが,この神経突起伸展,もしくは軸索誘導を引き起こす因子は大きく3種類に分けられている。これらは神経栄養因子(nerve growth factor;NGF)に代表される拡散性の液性因子,ラミニンに代表される細胞外基質因子,そして細胞接着因子である1,2)。本稿では,神経系における細胞外基質因子の役割を神経突起伸展という視点から述べてみたい。さらに,細胞接着因子と細胞外基質因子の関連も軸索誘導には非常に重要な働きをしていると考えられ,われわれのグループで見出した神経突起伸展因子(neurite outgrowth factor;NOF)とその受容体であるギセリンを中心に述べてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?