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特集 軸索誘導
軸索誘導の制御因子としてのプロテオグリカン
著者: 前田信明1 野田昌晴1
所属機関: 1基礎生物学研究所感覚情報処理部門
ページ範囲:P.534 - P.538
文献購入ページに移動 プロテオグリカンは蛋白質(コア蛋白質)にコンドロイチン硫酸,ヘパラン硫酸,ケラタン硫酸などの硫酸化グリコサミノグリカンと呼ばれる多糖が結合した分子群の総称である。プロテオグリカンにはコア蛋白質部分あるいは糖鎖部分を介して,様々な細胞外基質分子,接着分子,成長因子が結合する。このような多様な結合能により,プロテオグリカンは増殖,移動,分化,接着などの細胞機能の様々な局面を調節していると考えられている。最近,脳内においても極めて多種のプロテオグリカンが存在することが明らかにされ,その内,いくつかのコア蛋白質のcDNAもクローニングされている。コア蛋白質部分は,単にグリコサミノグリカンのキャリアとして機能していると考えられる単純な構造を示すものから,機能ドメインが連結した複雑な構造を示すものまで様々なものが存在する。
数年前までプロテオグリカンについて軸索伸長抑制説と促進説が共存し,議論が続いていたが,このような議論の背景には,プロテオグリカン群には共通の機能が存在するという考え方が存在したようである。しかしながら,脳由来の個々のプロテオグリカンの,中枢神経細胞に対する作用が詳細に解析されるようになった結果,プロテオグリカンの蛋白質および糖鎖部分の多様性に対応して,その神経細胞に対する作用もまた多様であることが明らかにされつつある。
数年前までプロテオグリカンについて軸索伸長抑制説と促進説が共存し,議論が続いていたが,このような議論の背景には,プロテオグリカン群には共通の機能が存在するという考え方が存在したようである。しかしながら,脳由来の個々のプロテオグリカンの,中枢神経細胞に対する作用が詳細に解析されるようになった結果,プロテオグリカンの蛋白質および糖鎖部分の多様性に対応して,その神経細胞に対する作用もまた多様であることが明らかにされつつある。
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