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文献概要
特集 軸索誘導
軸索成長の制御に関与する情報伝達系
著者: 五十嵐道弘1
所属機関: 1群馬大学医学部分子病態学教室
ページ範囲:P.542 - P.554
文献購入ページに移動 軸索成長は,軸索先端に形成される運動性に富んだ特殊構造である成長円錐(growth cone)によって担われる。すなわち,成長円錐が種々の軸索ガイダンス分子の信号を認識してその運動方向性を決定し,成長円錐の移動する方向に軸索伸長が生ずると考えられる。軸索経路誘導に関連する分子は多種類が知られており,netrin,collapsin/semaphorin,Eph receptor/ligandなど,guidance cueとしての信頼性が高いものも発見された。しかし,これらの分子が成長円錐の挙動を決定する際の,成長円錐の情報伝達系に関してはよく理解されていない。当然のことながら,ガイダンス分子の性質によって軸索成長のメカニズムは異なるし,神経細胞の種類によっても異なる。成長円錐の情報伝達系の生化学と軸索成長の現象とは正確には結び付いていないのが現状で,この限界の中で論じたいと思う。すでに著者は同様の総説1,2)を書いており,前回の総説以降の主だった知見を中心に成長円錐の情報伝達機構を概観してみる。神経回路形成の分子機構に関するショウジョウバエ,線虫での分子遺伝学的アプローチは,最近めざましい進歩が見られているが,細胞内情報伝達系の研究は高等動物で行われているので,本稿では主に高等動物の成長円錐における情報伝達系に限定して話を進める。
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