icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学48巻6号

1997年12月発行

文献概要

特集 軸索誘導

軸索束による接触誘導

著者: 永田功1 小野勝彦2 木村-黒田純子1 中辻憲夫3

所属機関: 1東京都神経科学総合研究所神経細胞生物学研究部門 2島根医科大学第二解剖学講座 3国立遺伝学研究所発生工学研究室

ページ範囲:P.560 - P.564

文献購入ページに移動
 100年近く前,Harrisonによって行われたカエル胚神経組織の初代培養で,神経突起はガラスなどの足場となる固形物の表面に接触(コンタクト)して伸びるという報告に始まり,後にWeissにより,細胞が方向性のある基質に沿って配列するという接触誘導(コンタクトガイダンス)の概念が生まれた。これは中井らによる末梢神経ニューロンの成長円錐にあるフィロポディア(糸状仮足)の接触挙動の観察へと続いている1)。本特集で取り上げられているように,最近神経発生の分野では,拡散性分子による誘導と反発という概念が明らかになってきて注目を集めている。しかし,脳の基本単位は神経細胞同士が互いに接触することにより成り立っており,フィロポディアが直接接触することによって,相手方の細胞膜の表面にある分子群やその構造を認識する重要性は失われていない。本稿では,哺乳類発生期脳でのニューロブラストの移動過程において観察された,ニューロンと線維束(多数の無髄軸索が平行に並んだ立体的な束)間でのコンタクトガイダンスを中心に概説する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?