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赤血球膜の裏打ち構造を原子間力顕微鏡で見る
著者: 竹内実1 楠見明弘2
所属機関: 1国立遺伝学研究所構造遺伝学研究センター 2名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻
ページ範囲:P.597 - P.601
文献購入ページに移動細胞膜は単に細胞と外界との境界というだけではなく,両者の間の物質と情報の交換,エネルギー変換,細胞間の相互作用などを担う場として,実に多彩な細胞活動に関与している細胞小器官である。これらの機能の多くは特定のタンパク質が集合してできる細胞膜の様々な膜ドメインによって担われている。例えば,クラスリン被覆ピットや細胞間の接着を担うアドヒーレンス結合などが,膜ドメインの一例である。また,上皮細胞や神経細胞などに見られるように,多くの細胞膜は大域的にも高度に組織化されている必要がある。これらの組織された構造/機能を二重層膜に埋め込まれたタンパク質だけで担うことは不可能である。
細胞膜の組織化を細胞はどのようにして達成しているのだろうか。われわれは,細胞はおもに細胞骨格を制御することによって,これを行っているという作業仮説をたてている1)。細胞は細胞骨格のネットワークと膜タンパク質の相互作用,および膜の流動性を利用して,細胞膜の形態維持と変化,細胞膜上での膜タンパク質の分布状態の制御などを行う,というわけだ。
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