文献詳細
文献概要
特集 言語の脳科学
言語の認知脳科学
著者: 酒井邦嘉1
所属機関: 1東京大学大学院総合文化研究科認知行動科学
ページ範囲:P.10 - P.22
文献購入ページに移動 言語の脳機能の解明は,科学にとって最後のフロンティアの一つである。言語は脳の最高次の機能であると同時に,他のさまざまな認知機能と密接に結びついている。実際,外界からの言語情報は,聴覚または視覚を通して知覚されるのであり,すでに記憶されている音声または文字のパターンに基づいて解釈される。また,意識のある状態では,絶えず言語を用いて,心の中で考えたり,考えたことを外界に表現したりしている。つまり,「聞く,読む,話す,書く」といった言語の認知行動は,「知覚―記憶―意識」という心のはたらきの一部として,脳のシステムに組み込まれている。
掲載誌情報