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筋ジストロフィーに対する遺伝子治療の基礎的研究―アデノウイルスベクターを用いた骨格筋に対する遺伝子導入の有用性
著者: 武田伸一1
所属機関: 1国立精神・神経センター神経研究所遺伝子工学研究部
ページ範囲:P.68 - P.74
文献購入ページに移動 われわれは,筋ジストロフィーに対する遺伝子治療の基礎研究として,アデノウイルスベクターを用いた遺伝子導入を行い,その有効性と限界を明らかにしてきた。アデノウイルスベクターを用いた遺伝子導入法は,培養骨格筋細胞に対して有効であるばかりでなく,成熟マウスの骨格筋に対しても,短期間であれば効率の高い発現系として,遺伝子の発現研究や機能の検定に利用できることが明らかになった。本稿では,最初に筋ジストロフィーに対して遺伝子治療が考慮されるようになった背景について触れる。次に,われわれが実際にin vitroおよびin vivoで行った骨格筋細胞に対する遺伝子導入の結果を述べる。さらに,アデノウイルスベクターを用いた遺伝子導入法のin vitro,in vivo遺伝子発現系としての評価と遺伝子治療への利用の可能性について論じ,最後に筋ジストロフィーに対する遺伝子治療の将来像について触れることにする。
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