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文献詳細

雑誌文献

生体の科学49巻2号

1998年04月発行

文献概要

特集 血管―新しい観点から

平滑筋細胞形質決定因子―その細胞内情報伝達機構と遺伝子発現制御

著者: 西田亙1 林謙一郎1 祖父江憲治1

所属機関: 1大阪大学医学部バイオメディカル教育研究センター神経生化学講座

ページ範囲:P.121 - P.130

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 平滑筋は,心筋・骨格筋(横紋筋)とはその構造および機能において大きな違いがある。横紋筋はアクチンフィラメント上に存在するトロポニン複合体によるCa2+感受性の収縮制御を受けている。また,筋線維はZ帯などで整然と区画され,筋細胞の全長にわたり平行に配列していることから,横紋筋の収縮は二次元的である。一方,平滑筋には横紋筋に認められるトロポニンが存在しない。このため平滑筋の収縮制御機構は長らく不明であったが,現在ではカルデスモンによるアクチン側と,ミオシン軽鎖キナーゼによるミオシン側の二重制御を受けていると考えられている。また,平滑筋には横紋は観察されず,Z帯も存在しない。平滑筋の筋線維はZ帯の代わりに,緻密斑(dense membrane,dense plaque)もしくは緻密体(dense body)を足場としてらせん状に配列している。結果として,平滑筋の収縮は三次元的であり,これが血管や消化管のトーヌス維持あるいは収縮にあずかっている。
 興味深いことに,平滑筋および横紋筋には上述したような大きな相違が認められるにもかかわらず,アクチン・ミオシン・トロポミオシンなどの基本収縮蛋白質の構成は驚くほど似通っている。両者の差異を決定するものは一体,何であろうか。骨格筋特異的な蛋白質の転写調節に関しては,MyoDの発見以来かなりの部分が明らかになってきた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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