icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学49巻2号

1998年04月発行

文献概要

特集 血管―新しい観点から

新しい分化した血管平滑筋細胞株

著者: 大見和宏1

所属機関: 1国立小児病院小児医療研究センター病理病態部

ページ範囲:P.131 - P.136

文献購入ページに移動
 生体内の正常血管組織に存在する血管平滑筋細胞は静止状態にあり,分化形質(収縮能,平滑筋型細胞骨格蛋白質の発現など)を維持している。それを培養系に移した場合,細胞は形質転換を起こして脱分化する(増殖能の獲得,収縮能の低下,平滑筋細胞型から非筋細胞型への細胞骨格蛋白質のアイソフォームの変換)1-7)。現在までの研究では,一度脱分化した培養平滑筋細胞や未分化な細胞を完全に平滑筋に分化させる条件は報告されていない。しかし,筆者がp 53ノックアウトマウスの大動脈から得た血管平滑筋細胞株は,通常培養下での平滑筋細胞ではダウンレギュレートされていたいくつかの平滑筋マーカーを発現しており,さらに薬物処理により分化制御が可能な細胞である。本稿では,この新規血管平滑筋細胞株作製の経緯と現在までに明らかとなっている細胞の性質について述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?