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特集 血管―新しい観点から
血管平滑筋細胞の分化とミオシン遺伝子の発現
著者: 星野洋一1 永井良三1
所属機関: 1群馬大学医学部第二内科
ページ範囲:P.137 - P.144
文献購入ページに移動 血管平滑筋細胞は発生・分化あるいは動脈硬化症などの疾病において,その形質を変化させることが知られている。形質変換と呼ばれるこの現象は平滑筋細胞の形態だけでなく,細胞に存在する様々な遺伝子の発現も変化させる。収縮蛋白であるミオシンもその一つである。平滑筋特異的な発現をするミオシン重鎖遺伝子などの制御機構の解明が,平滑筋細胞における形質変換の解明につながる。しかし,骨格筋や心筋に比べその分子メカニズムには不明な点がまだ多い。骨格筋ではMyo DファミリーやMEF 2と呼ばれる転写因子が重要な役割を担う。骨格筋では,これらの転写因子が欠損すると骨格筋発生のプログラムが停止する。また,心筋細胞でもGATAファミリー,TEF,MEF 2などの転写因子がその発生に不可欠である。一方,平滑筋細胞では発生・分化に関与する特異的な転写因子は発見されていない。本稿では血管平滑筋細胞の分化について平滑筋ミオシン重鎖遺伝子を中心に解説する。
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