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文献詳細

雑誌文献

生体の科学49巻3号

1998年06月発行

文献概要

特集 幹細胞研究の新展開

マウス生殖系列細胞の発生機構

著者: 松居靖久1 吉水朋美1

所属機関: 1東北大学加齢医学研究所分子発生研究分野

ページ範囲:P.171 - P.174

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 有性生殖をする多細胞生物の命の永続性は,生殖細胞により保証されている。つまり生殖細胞のみが,受精を介して次の世代を作り出すことができる。発生の進行に伴い,すべての体細胞が基本的に死ぬべく運命づけられているのに対して,生殖細胞だけが個体発生のスタート地点に戻れることは大変不思議に思える。体細胞とは異なるこのような特別な性質を持った生殖細胞が個体発生の初期過程で現れ,その性質を保ったまま増殖・分化する機構は興味深いが謎の部分が多い。本稿では,哺乳動物のうち比較的研究の進んでいるマウスについて,まず個体発生過程で最初に現れる生殖系列細胞である始原生殖細胞と,その元になる胚性幹細胞の性質および両者の関連について述べる。次に,始原生殖細胞が初期発生過程でどのように運命づけられるかについて,われわれの最近の研究結果を含めて紹介する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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