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文献詳細

雑誌文献

生体の科学49巻3号

1998年06月発行

文献概要

特集 幹細胞研究の新展開

表皮幹細胞

著者: 飯塚一1 山本明美1 高橋英俊1 本多久夫2

所属機関: 1旭川医科大学皮膚科 2兵庫大学経済情報学部

ページ範囲:P.203 - P.206

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 重層扁平上皮である表皮は最下層の基底細胞層で分裂後,分化しながら上方へ移動し,終末角化とよばれる細胞死と連動したドラスチックな変動を経て角質細胞になる。角質細胞層は死んだ組織であるが,外界の様々な物理的刺激から生体の内部環境を守っている。表皮細胞は下から補充されるため,最も古い角質細胞は常に最上層にあり,これが順番に垢となって剥がれ落ちる。表皮はこのような形で定常状態を保っており,剥離する細胞に見合う形で自己再生が不断に続いている。したがって表皮基底細胞層においては半永久的な分裂能を持った細胞が想定され,これを幹細胞と名づける。幹細胞は,造血幹細胞のように多分化能を持つ細胞として存在することもあるが,表皮においては単一分化能しかなく,もっぱら分裂の母細胞としてのみ定義される。なお,本稿では主に正常表皮に議論をしぼる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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