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文献詳細

雑誌文献

生体の科学49巻4号

1998年08月発行

文献概要

特集 プロテインキナーゼCの多様な機能

シグナル伝達におけるPKCとPLD

著者: 大口健司1 野澤義則1

所属機関: 1岐阜大学医学部生化学教室

ページ範囲:P.248 - P.252

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 哺乳動物細胞では,種々のアゴニスト刺激によって各種ホスホリパーゼが活性化され,膜リン脂質が分解されることにより,多様な脂質メディエーターが産生される1)。ホスホリパーゼD(PLD)は主としてホスファチジルコリン(PC)を加水分解し,ホスファチジン酸(PA)とコリンを産生するリン脂質分解酵素である(図1)。PAはホスホヒドラーゼ(PAP)によってジアシルグリセロール(DG)となる。また,PLDはホスファチジル基転移(transphosphatidylation)という特異反応を触媒する。つまり,一級アルコールの存在下ではPCのホスファチジル基がアルコールに転移されるため,PAの代わりに代謝されにくい特異リン脂質のホスファチジルアルコールを産生する特性を持っている。一般にはエタノールやブタノールがよく用いられ,それぞれからホスファチジルエタノール(PEt)とホスファチジルブタノール(PBut)ができる。リン脂質の窒素塩基とリン酸基の結合を切断し,PAとコリンにする酵素がニンジンやキャベツに存在することが明らかにされたのがPLDの最初であり,もっぱら植物をはじめ藻類,粘菌,細菌などの酵素として長年あつかわれていた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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