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文献詳細

雑誌文献

生体の科学49巻4号

1998年08月発行

文献概要

特集 プロテインキナーゼCの多様な機能

虚血による心筋内PKCアイソフォームの転移と病態生理学的意義

著者: 吉田謙一1

所属機関: 1山口大学医学部法医学教室

ページ範囲:P.281 - P.286

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 ラットの心筋には4種類のPKCアイソフォームが発現しているが1,2),各々の生理機能は不明である。表1に示すように,心筋内には種々のPKC基質が存在する3)。PKCは一般に細胞質分画に多く存在し,各種のホルモン,神経伝達物質,サイトカイン,伸展などにより,例えばconventional(c)PKCαはCa2+,ジアシルグリセロール(DG)依存性に,novel(n)PKCδ,εはDG依存性に,atypical(a)PKCζはCa2+,DG非依存性に活性化され,膜分画などへ転移(translocation,redistribution)し,その基質をリン酸化する3)。従来生化学的には,組織や細胞のホモジネートを例えば100,000×g遠心上清(S)と沈殿(P)に分け,SからPへの転移を膜転移として,活性測定やイムノブロット法で検出していた4)。しかし,表1に示すように,PKCは形質膜のほか小胞体,ミオフィブリル,核の蛋白を基質とし,図2の免疫組織像に示すように核やミオフィブリルにもある。PKCはアドレナリン受容体などを介する心筋収縮力増強5)やアンジオテンシン受容体を介する心肥大化7)などにも関与していると信じられているが,生体内でどのアイソフォームがどの基質をリン酸化し,その機能を調節するかを明確に示した論文はない。例えば,虚血後PKCζが核へ転移したとすると,PKCζの基質は核にあると考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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