icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学49巻4号

1998年08月発行

文献概要

特集 プロテインキナーゼCの多様な機能

PKCに結合する薬剤

著者: 柴﨑正勝1 魚津公一郎1

所属機関: 1東京大学大学院薬学系研究科有機合成化学講座

ページ範囲:P.290 - P.295

文献購入ページに移動
 西塚らにより発見されたプロテインキナーゼC(PKC)1-3)は,発がんプロモーターとして知られていたホルボールエステルに直接結合し活性化されることが明らかにされ4),ホルボールエステルはPKCに関連する研究において広く用いられている。活性化剤であるホルボールエステルとともに,PKC阻害剤もPKCに関する研究で活発に用いられてきた。それら阻害剤の多くはプロテインキナーゼAなど他のキナーゼとの特異性が潜在的な問題として挙げられ,その問題点を克服するための阻害剤の改良の試みが種々検討されている。また,発見当初は単一の分子種と考えられていたPKCは,現在では10種以上のサブタイプの存在が知られており,各サブタイプはそれぞれ固有の役割を担っていると考えられている。しかしながら,サブタイプ選択的なPKC阻害剤および活性化剤はほとんど知られておらず,既存の阻害剤/活性化剤の改良,および新しいアプローチによるサブタイプ選択的阻害剤/活性化剤の開発が今後の課題である。サブタイプ選択的なPKC阻害剤の開発は,各サブタイプの役割を明らかにするのみならず,発がんメカニズムの解明,および有用な医薬の開発へ発展することが期待される。
 本稿では,これらPKC活性化剤/阻害剤の開発に関する最近の動向を述べるとともに,われわれのグループで行っているPKCのレギュレートリードメインに作用する阻害剤開発の試みについても述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら