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文献詳細

雑誌文献

生体の科学49巻4号

1998年08月発行

文献概要

連載講座 個体の生と死・9

胎盤と胎膜の発生

著者: 谷村孝1 木原隆英2

所属機関: 1近畿大学ライフサイエンス研究所 2近畿大学医学部第1解剖学教室

ページ範囲:P.296 - P.303

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I.胎盤と胎膜とは
 胎児fetus(初期には胚embryo)そのもの(固有部分)を保護する胚外の構造物を胎児付属物fetal or developmental adnexaという。その中で胎盤placentaは最も重要なもので,大部分は胎児(受精卵)由来で,一部分は母体(子宮内膜)由来の複合器官で,胎児の生存と発育に必要な生理的交換を主とする多様な機能を示す。胎膜fetal(embryonic)membraneとは,爬虫類以後の高等脊椎動物が陸上で発生するために必要な胚体部以外すなわち胚外の膜様構造をさし,具体的には絨毛膜(漿膜),羊膜,卵黄嚢,尿膜さらには臍帯をいう。胎盤は後述するごとく絨毛膜,羊膜と母体由来の脱落膜からなる。胎児は臍帯で胎盤と結ばれ,羊水で満たされた腔に浮遊しているが,腔の壁の胎盤以外の部位は薄い膜状で,これも絨毛膜,羊膜と脱落膜からなっている。これを狭義で胎膜と呼ぶことが多い。この一続きの袋状の胎盤と胎膜は,日本では古来エナ(胞衣)と呼んでいた。また,児が分娩された後に排出されるので後産ともいう。
 placentaの語源はギリシア語のplakousで,flat cake扁平な菓子という意味である。1559年にRealdus Columbusが命名したとされる。ドイツ語ではMutterkuchenという。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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