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文献詳細

雑誌文献

生体の科学49巻4号

1998年08月発行

文献概要

実験講座

RNAの核外輸送の研究法

著者: 松岡洋祐1 米田悦啓1

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科機能形態学講座

ページ範囲:P.304 - P.308

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 真核細胞では遺伝子DNAは細胞核内に存在するのに対し,遺伝子がコードしている遺伝情報の最終産物である蛋白質の合成は細胞質で行われる。このため遺伝情報のコピーともいえるmRNAや,それを蛋白質に翻訳する際に必要となるtRNAやrRNAは全て核から細胞質へ移動しなければならない。RNAの核外移行は大きく分けて転写部位から核膜孔までの移動と,核膜孔通過の二つのステップより成る1)。第1のステップでは転写されたRNAがRNA結合蛋白質と結合してRNP複合体を形成し,これがスプライシングなどの成熟過程を経ながら何らかのメカニズムによって核膜孔まで運ばれる。第2のステップでは核膜孔に到達したRNP複合体が核膜孔の核側から細胞質側へ移動し,核膜孔から離れて細胞質へ放出される。この二つのステップで行われている複雑なRNA―蛋白質間あるいは蛋白質―蛋白質間の相互作用を解明するとともに,転写や翻訳との関わりを考えながら研究を進めていくことで,RNAの核外輸送の全体像がはじめて理解できることになる。RNA核外輸送の研究はまだまだ初期の段階にあり,その全体像を把握できるような実験系も存在しない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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