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文献詳細

雑誌文献

生体の科学49巻5号

1998年10月発行

文献概要

特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998 Ⅰ.受容体に作用する薬物 1.イオノトロピック受容体 1)陽イオンチャネル内蔵型

ニコチン受容体

著者: 村松郁延1 朱軍1 谷口隆信1

所属機関: 1福井医科大学薬理学教室

ページ範囲:P.343 - P.345

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 ニコチン受容体は分子量300K以上の糖蛋白で,五つのサブユニットから構成されている。サブユニットとしては,αサブユニットに9種類(α1~α9),βサブユニットに4種類(β1~β4)の亜型が,それにγ,δ,εサブユニットが各1種類存在する。従って,組み合わせの違いにより多種類のニコチン受容体が生体に分布していることになる。シビレエイの電気器官や神経節接合部の骨格筋型ニコチン受容体は,2個のα1サブユニットと1個ずつのβ1,γ(ε),δサブユニットで構成されている。これに対し,神経型ニコチン受容体には,α2~α6,β2~β4サブユニットが2:3の割合で集合したもの(2α3β型)と,α7,α8またはα9サブユニットが5個集合した5α型のものがある。いずれのニコチン受容体も五量体である1,2)
 ニコチン受容体はチャネル機能を内蔵している3)。アセチルコリンなどのアゴニストが結合すると五つのサブユニットの中央に形成されたポアporeが開き,陽イオンに対する透過性が高まる。骨格筋型が主にNa,Kイオンを通すのに対し,神経型はNa,KイオンだけでなくCaイオンに対しても高い透過性を示す。アセチルコリン結合部位は受容体に2ヵ所あり,互いに影響し合っている。これがニコチン受容体での薬物の作用を複雑にしている原因の一つである。表1に代表的アゴニスト,アンタゴニストを示す。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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