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文献詳細

雑誌文献

生体の科学49巻5号

1998年10月発行

文献概要

特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998 Ⅰ.受容体に作用する薬物 2.Gタンパク共役型 2)ペプチド受容体

アンジオテンシン受容体

著者: 岩尾洋1

所属機関: 1大阪市立大学医学部薬理学教室

ページ範囲:P.386 - P.387

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 アンジオテンシン受容体はレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の中での生理活性を有する本体であるアンジオテンシンⅡ(AngII)に対する受容体であり,1型(AT1)と2型(AT2)の2種類の受容体がクローニングされ,さらにAng-(3-8)に対応する4型(AT4)やAng-(1-7)に対する受容体などのサブタイプの存在が示唆されている。AT1とAT2は共に7回細胞膜貫通型の受容体であるが,両者のアミノ酸の一次構造の相同性は低い。AT1受容体の細胞内シグナル伝達はCaを動員するG蛋白共役型の受容体で,Gi経由のサイクリックAMP系とGq経由のIP3系を介する。AT2受容体の細胞内シグナル伝達はホスホチロシンホスファターゼを介する。ジチオスレイトール(-SH試薬)によりAT1受容体はリガンドとの結合能力を失うが,AT2受容体は影響を受けない。ラット,マウスでは,AT1受容体にさらにサブタイプのATIA受容体とATIB受容体が存在するが,生理作用は両者ともに同じと考えられている。
 Ang Ⅱの血管平滑筋収縮作用,末梢交感神経終末からのノルエピネフリン放出促進作用,副腎髄質からのアドレナリン分泌作用,副腎皮質からのアルドステロン分泌作用,心血管系のリモデリングや細胞増殖作用など,現在までに知られている生理作用の殆どすべてがAT1受容体を介する作用で,非ペプチド性AT1受容体拮抗薬により阻害される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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