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文献詳細

雑誌文献

生体の科学49巻5号

1998年10月発行

特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998

Ⅱ.チャネルに作用する薬物 放出チャネル

cADPR/Ryanoid-ICR

著者: 村山尚1 小川靖男1

所属機関: 1順天堂大学医学部薬理学教室

ページ範囲:P.424 - P.426

文献概要

 受精時には卵細胞の細胞内カルシウムイオン(以下,Ca2+)濃度が急激に上昇し,これが受精後のさまざまな反応の引き金となることが知られている。このCa2+上昇は細胞内Ca2+ストアからのCa2+遊離であることがわかっていて,ハムスター,マウスの卵ではイノシトール-1,4,5-3リン酸(IP3)誘発性Ca2+遊離(IP3-induced Ca2+release;IICR)機構が主要な経路であることが示されている。これに対して無脊椎動物のウニ卵では,IICRの阻害薬であるヘパリンを注入しても依然としてCa2+上昇が見られることから,ほかの機構を介している可能性が示唆されていた。最近になってサイクリックADPリボース(cyclic ADP-ribose;cADPR)とニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸(nicotinic acid adenine dinucleotide phosphate;NAADP)という2種類の物質が同定され,それぞれがCa2+遊離作用を持つことが明らかとなった1)。本稿ではcADPRおよびNAADPによるCa2+遊離機構について概説し,関連する薬物について述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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