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文献詳細

雑誌文献

生体の科学49巻5号

1998年10月発行

特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998

Ⅳ.代謝的に作用する薬物

DOPAデカルボキシラーゼ

著者: 加世田俊1 野元正弘1

所属機関: 1鹿児島大学医学部薬理学講座

ページ範囲:P.470 - P.471

文献概要

 DOPAデカルボキシラーゼ(芳香族L-アミノ酸デカルボキシラーゼ)はピリドキサルリン酸を補酵素として含み,DOPAや5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP)などの芳香族L-アミノ酸を基質としてこれを脱炭酸することによりドパミンやセロトニンを生成する酵素である。基質とする芳香族L-アミノ酸は多数存在するが,中でもDOPAと5-HTPに対する親和性が高く,チロシン・フェニルアラニン・トリプトファンには親和性が低い。DOPAに対しては低いKm値に高いVmax値を示し,内因性DOPAは即座にドパミンに変換されるため,カテコラミン含有組織中のDOPA濃度は極めて低い1)。DOPAデカルボキシラーゼの分布は副腎髄質,腎臓,肝臓,松果体ほか多岐にわたり,脳ではドパミン,ノルアドレナリン,セロトニン酸性細胞である黒質,青斑核,縫線核に高濃度に存在する。
 DOPAデカルボキシラーゼに作用する薬物としては,その阻害剤としてcarbidopaおよびbenserazideが知られている。これらはパーキンソン病の薬物治療で,levodopa(L-DOPA)と併用されている。L-DOPAは単剤では脳へ到達する前にDOPAデカルボキシラーゼによって99%以上が代謝され,脳への到達率の低いドパミンに生成される。末梢ドパミンの増加によって消化器症状や循環器症状などの副作用が生じる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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