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文献詳細

雑誌文献

生体の科学49巻6号

1998年12月発行

文献概要

特集 発生・分化とホメオボックス遺伝子

ゼブラフィッシュのHox遺伝子から見た脊椎動物の進化と多様化

著者: 岡本仁1

所属機関: 1理化学研究所脳科学総合研究センター発生遺伝子制御研究チーム

ページ範囲:P.546 - P.554

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 魚類は脊椎動物の中でも最もバラエティーに富んだ生きものである。最近,ゼブラフィッシュのHox遺伝子群を解析することによって,このような多様性の増加が,魚類で特有に起こったゲノムの重複と密接に関わりながら起きたのではないかと考えられるようになってきた。また哺乳類とゼブラフィッシュで,Hox遺伝子群の発現パターンを比較することによって,われわれ哺乳類を含む四足類の祖先が,魚類の子孫と分かれたとき何が起こったかも推察できるようになった。現在ゼブラフィッシュをモデル実験動物に使って,発生過程や行動に異常をきたす突然変異系統の大規模な検索が行われている。ゼブラフィッシュではゲノムの重複が起きており,ほかの脊椎動物では一つの遺伝子によって担われている複数の役割が,重複された複数の遺伝子によって分担して担われることが期待される。このことを利用すると,ゼブラフィッシュの突然変異体の解析によって,このような遺伝子の発生段階ごとに異なる機能を高精度に調べることができるかもしれない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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