文献詳細
特集 発生・分化とホメオボックス遺伝子
文献概要
私たちが普段目にする動物のほとんどに,前後の別すなわち前後軸があり,それに沿って前方(吻側)に頭部,後方(尾側)に胴体とを区別することができる(本稿では,吻側を前方,尾側を後方とする)。私たちにとって,それは当然のことであって,特に気にかけて考えることはない。しかし,動物の進化の系統樹では,前後軸は背腹軸や左右軸に先立って現れた最も原初的な軸である。頭部には中枢神経系と捕食のための口があり,胴体には運動器と生命維持・生殖のための諸器官が配されて,頭部と胴体とは機能的意義にもはっきりとした違いがある。
ショウジョウバエの研究に端を発し,その前後軸を決める分子機構が解明されてきた。なかでも,前後軸に沿った体の分節化を決定するホメオティック(homeotic)遺伝子のクラスターがショウジョウバエと脊椎動物とに共通して普遍的に存在することの発見は,研究者に驚きをもって迎えられた。一方,頭部の形成に関与する遺伝子についても,ホメオティック遺伝子と同様に普遍的な分子機構のあることが,近年示されている。
ショウジョウバエの研究に端を発し,その前後軸を決める分子機構が解明されてきた。なかでも,前後軸に沿った体の分節化を決定するホメオティック(homeotic)遺伝子のクラスターがショウジョウバエと脊椎動物とに共通して普遍的に存在することの発見は,研究者に驚きをもって迎えられた。一方,頭部の形成に関与する遺伝子についても,ホメオティック遺伝子と同様に普遍的な分子機構のあることが,近年示されている。
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