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文献詳細

雑誌文献

生体の科学49巻6号

1998年12月発行

文献概要

特集 発生・分化とホメオボックス遺伝子

頭部形成に関与するホメオボックス遺伝子

著者: 村上徹1

所属機関: 1群馬大学医学部解剖学第2講座

ページ範囲:P.573 - P.580

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 私たちが普段目にする動物のほとんどに,前後の別すなわち前後軸があり,それに沿って前方(吻側)に頭部,後方(尾側)に胴体とを区別することができる(本稿では,吻側を前方,尾側を後方とする)。私たちにとって,それは当然のことであって,特に気にかけて考えることはない。しかし,動物の進化の系統樹では,前後軸は背腹軸や左右軸に先立って現れた最も原初的な軸である。頭部には中枢神経系と捕食のための口があり,胴体には運動器と生命維持・生殖のための諸器官が配されて,頭部と胴体とは機能的意義にもはっきりとした違いがある。
 ショウジョウバエの研究に端を発し,その前後軸を決める分子機構が解明されてきた。なかでも,前後軸に沿った体の分節化を決定するホメオティック(homeotic)遺伝子のクラスターがショウジョウバエと脊椎動物とに共通して普遍的に存在することの発見は,研究者に驚きをもって迎えられた。一方,頭部の形成に関与する遺伝子についても,ホメオティック遺伝子と同様に普遍的な分子機構のあることが,近年示されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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