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文献詳細

雑誌文献

生体の科学49巻6号

1998年12月発行

文献概要

解説

ショウジョウバエ幼虫筋肉の発生におけるファウンダー細胞の役割とロイシンリッチリピートタンパク質

著者: 宍戸恵美子1 能瀬聡直2

所属機関: 1生理学研究所液性情報部門 2東京大学大学院理学系研究科物理学教室

ページ範囲:P.612 - P.616

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 ショウジョウバエは遺伝学を応用できる理想的な生物として古くから実験に用いられてきた注1。もし,「The Genome of Drosophila melanogaster」をご覧になられる機会があれば,その中に示されている奇怪な変異体の集積に驚かれることであろう1)。中でも有名なものとして,例えば,正常型では2枚あるハネが4枚になるバイソラックス変異体や,触角が足の構造に変化するアンテナペディア変異体を挙げることができる2)。DNAを扱う分子生物学の時代に入って,ショウジョウバエ変異体の原因遺伝子の発見は,ほかの生物における遺伝的コントロールを理解するうえで重要な手がかりを与えてきた。ショウジョウバエ幼虫表皮の体節構造の決定には26個のセグメンテーション遺伝子(the segmentation genes)が関わるが3),脊椎動物において,セグメンテーション遺伝子に対応する相同遺伝子は多数見出されている。また,神経細胞のパターン形成においては側方抑制(lateral inhibition)という現象4)や非対称分裂の仕組みについての深い理解をもたらした。しかし,表皮や神経系の発生が細かに記載されていたのに比べ,胚発生における中胚葉組織の発達についての記述が始まったのはごく最近である。1991年にBateは幼虫の体壁筋肉の厳密な構造と,筋肉細胞が形成される過程を記述した5)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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