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正常呼吸中樞及びその延髓脊髓内遠心傳導路の活動電位
著者: 福原武1 中山沃1 岡田博匡1
所属機関: 1鳥取大學醫學部生理學教室
ページ範囲:P.15 - P.20
文献購入ページに移動1936年Gesell等3)は延髄から脊髄に亘つて,呼吸に關係すると考えられる求心路,遠心路から吸息相並びに呼息相に一致して現われるスパイク放電を記録し,延髄の閂附近の網樣體では,殊に著明なスパイク放電が認められることから,ここに呼吸中枢が存在し,その中に吸息性及び呼息性ノイロンが混在すると考えた。しかるに1951年Gesell等の研究を追試したDirken及びWoldring2)8)は中枢の存在部位についてはGesell等の見解にほぼ一致するが,吸息性及び呼息性ノイロン群は網樣體中にそれぞれ分離して局在し,前者は腹側方に,後者はそれの背側に位するという。また同年Amoroso等1)は吸息性及び呼息性ノイロンはGesell等の結果に等しく混在するが,内網樣體の腹側方では吸息性ノイロンが幾分多いように思われるという。
正常呼吸中枢の所在については,私ども5)6)はこれまでの研究者とは大いに見解を異にしている。私どもはさきに腦幹の横斷實驗及び局所的電氣凝固實驗によつて正常呼吸中枢が聽條の高さにおいて兩側の外網樣體中に對をなして局在し,この中枢からの遠心路は延髄の外網樣體中を交叉することなく下降すると結論した。
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