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文献詳細

雑誌文献

生体の科学5巻1号

1953年08月発行

文献概要

論述

鎭痛藥の作用點

著者: 藤田貞雄1

所属機関: 1京都大學醫學部藥理學教室

ページ範囲:P.27 - P.32

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 鎮痛藥は脊髄の後根あるいは腦神經から中枢に入る知覺性の衝撃をその求心路の何處かで遮斷して大脳皮質まで到達させない樣にする藥物であることは定義出來ない。痛覺は一部は中腦と間腦で,又一部は大脳皮質で形成されるという(Wolff1))が,痛覺を生ぜさせると思われる刺激を加えた時,その求心性の衝撃がこれらの部位に達し,而もその部位の機能が正常であつても常に痛覺が生じるとは限らない事は,Bishop2)が云つているように痛覺を起す刺激閾値は,注意力とか意識とかという精神状態によつて,痛覺に對するperceptionそのものが非常に異るので一定しないからである。だから鎮痛藥の效果は痛覺の有無を答申する事が出來るヒトを實驗の對象にしても測定することは至難なことであるし,まして動物實驗では現在の所到底不可能なことである。こゝで述べる鎮痛藥の作用點とは,臨床的に鎮痛作用があるといわれている藥物について,動物に痛覺を起すと思われる刺激を加えた時,中枢神經にあらわれる反應を目標にして行つた實驗成績から單に推測したものであつて,この點が他の藥物と異り,藥物の效果自身が測定出來ないという實驗の根本的な缺陥によるあいまいさがある事は致し方がない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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