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文献詳細

雑誌文献

生体の科学5巻2号

1953年10月発行

文献概要

展望

神經,筋の電氣活動とイオン—最近の電氣生理學の1トピツク

著者: 古河太郞1

所属機関: 1大阪市立醫科大學生理學教室

ページ範囲:P.71 - P.78

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 緒言
 神經或は筋の表面に2個の電極を置き,その間の電位差を測完する場合健常な神經或は筋に於ては表面は等電位にあり,電位差を證明しない。所がその一部を負傷させる場合,或は鹽化カリの樣な藥物を作用させる場合にはその部分と健常部との間に電位差があらわれる。これが負傷電位或は靜止電位と呼ばれるものであり,一方筋,神經を刺戟してこれを興奮せしめると極く短時間ではあるが,やはり電位差があらわれ,これは活動電位と呼ばれている。靜止電位の研究は極めて古くから種々行われて來ているが,活動電位に就てはその時間的經過が速である爲に眞空管増幅の技術を應用する事によつて始めて可能となつた部面が多い。衆知の如くこの活動電位は神經或は筋活動の指標として我々がこれを利用して甚だ有用なものであるが,それ自身神經或は筋活動に伴う單なる随伴現象ではないのであつて,少くとも興奮の傳導はこれを介して行われている。即ち興奮部に生起する活動電位は隣接非興奮部に對して刺戟となるのに適當したしかたで生起し,又充分な強度を有している事が知られている(局所電流説)。
 これらの電位の成立する機序に就ては從前より甚だ議論が多いのであるが,注目すべき事實として神經筋の細胞内外でそのイオン組成に大きな差がある事が知られていた。即ちKは細胞内に多くNa及びClは細胞外(組織液)に多いのであつて,この濃度の比は50倍にも達する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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